12/3 更新 『 expodisc 2.0 でホワイトバランスを補正する vol.3』

→前回 『 expodisc 2.0 でホワイトバランスを補正する vol.2』

expodisc2.0 シーン別作例

1 . 空の色をクリアに再現

A W B ( オートホワイトバランス)

expodisc2.0 ( マニュアルホワイトバランス)

午前中の太陽光での撮影です。「太陽光」でもそれが何時の光なのか、季節はいつなのかなど、条件によって微妙にその光の色は異なります。もし、空の色を濁りの無いクリアな色で再現したければホワイトバランスをその光の色に合わせることが必要になります。雲の色を見ればわかるとおりA W B では黄色味がかって濁っていた空の色がexpodisc2.0を使うことで色かぶりの無いすっきりとした色になりました。

2 . 鮮やかな色再表現はホワイトバランスで

A W B ( オートホワイトバランス)

expodisc2.0 ( マニュアルホワイトバランス)

日陰で撮影した場合にA W B では実際よりも色味が地味に( 渋めに) 写ってしまうことがあります。これはホワイトバランスが青味がかっていることが原因です。A W B の写真で陶器の艶の部分を見ると青っぽいのがお分かりいただけるでしょう。この場合カメラの設定で「彩度」を高くするのではなく、expodisc2.0を使いその時に合わせたホワイトバランスに設定することで自然な鮮やかさとなります。

3 . 夜景などのミックス光

A W B ( オートホワイトバランス)

expodisc2.0 ( マニュアルホワイトバランス)

夜景など夜の撮影では複数の色の照明がある、いわゆる「ミックス光」と呼ばれる状態になる事が多く、写真の中にホワイトバランスの正解が複数あるため、A W B ではなかなか思い通りの色が出にくい場合があります。夜景の場合でもexpodisc2.0で拡散された光でマニュアルホワイトバランスを設定するため、ミックス光の場合でも平均的でバランスの良いホワイトバランスとなります。

A W B ( オートホワイトバランス)

expodisc2.0 ( マニュアルホワイトバランス)

色味が強かったり演色性の良くない照明などでは、A W B では光源の色味が残ってしまう場合があります。この例では船体の白い部分が緑色に濁っています。
expodisc2.0でホワイトバランスを設定すると、この光源による色の濁りも緩和することができます。

4 . 料理の写真

A W B ( オートホワイトバランス)

expodisc2.0 ( マニュアルホワイトバランス)

自然光で料理を撮影したものです。A W B では写真全体が青味がかり赤や茶色など暖色系の発色が良く無く安っぽい色に見えます。expodisc2.0ではニュートラルなホワイトバランスで自然な色調となります。

A W B ( オートホワイトバランス)

expodisc2.0 ( マニュアルホワイトバランス)

電球照明の下で撮影したものになります。A W B のようにホワイトバランスが補正されず、赤みが強すぎると、被写体本来の色がどのようなものであったかさえもわからなくなってしまいます。expodisc2.0を使うことで被写体の色が再現できます。
また、最近は電球色のL E D 照明なども多く普及しており、電球とは特性が異なるために、カメラのホワイトバランス「電球」などでは補正できない場合もあります。その場合でもexpodisc2.0ではその場所の照明の色にホワイトバランスを合わせることができるため有用です。

5 . スナップ写真

A W B ( オートホワイトバランス)

expodisc2.0 ( マニュアルホワイトバランス)

スナップ写真では機動性の面からA W B をお使いの方も多いのではないかと思います。カメラの液晶画面で見て明らかに色調がおかしかった場合にのみexpodisc2.0を使うのもスナップ撮影ではおすすめの使い方です。

A W B ( オートホワイトバランス)

expodisc2.0 ( マニュアルホワイトバランス)

日なたと日陰が混在する街中や路地裏のスナップ写真ではここでもいわゆるミックス
光の状態になっているため、A W B に限らずホワイトバランスの設定が悩ましいところ
です。expodisc2.0では日なたと日陰両方のバランスの良いホワイトバランスを設定
することができます。

A W B ( オートホワイトバランス)

expodisc2.0 ( マニュアルホワイトバランス)

曇天下ではA W B が青くはずす場合が多く見られます。その場合はexpodisc2.0を曇り空に向けて撮影し、マニュアルホワイトバランスを設定することで青かぶりを緩和させることができます。

6 . ストロボ( メイン+ バウンス)

A W B ( オートホワイトバランス)

expodisc2.0 ( マニュアルホワイトバランス)

ストロボを複数使用して天井や壁バウンスなどを利用して撮影した場合にはそれぞれ
の光の色温度が異なりミックス光となる場合があります。その場合にはメインライト
の光源に向けてexpodisc2.0を使用することでホワイトバランスを片方に合わせる
ことができます。

7 . ストロボ( 天井/ 壁バウンス)

A W B ( オートホワイトバランス)

expodisc2.0 ( マニュアルホワイトバランス)

ストロボでバウンスした際に天井や壁などに色が付いていた場合にA W B ではその色
の影響を受け、被写体本来の色味が再現できない場合があります。expodisc2.0で
ストロボを受ける天井や壁でホワイトバランスを設定することで天井や壁の色の
影響を受けにくくなります。

8 . お花やネイチャーフォト

A W B ( オートホワイトバランス)

expodisc2.0 ( マニュアルホワイトバランス)

お花やネイチャーフォトは朝夕の優しい光で撮影される場合もあるのではないでしょうか? 薄暗い状況下ではカメラのA W B も性能を発揮できなく色がおかしくなってしまう場合があります。そのような場合にはe x p o d i s c 2 . 0 で太陽や明るい空の方に向かって撮影することでホワイトバランスを設定することができます。

9 . 特殊な例

A W B ( オートホワイトバランス)

expodisc2.0 ( マニュアルホワイトバランス)

被写体から「白っぽいもの」を見つけ出し、そこを白く再現するようにするカメラのA W B では、被写体に白っぽいものが少なかった場合にはずしてしまうケースがあります。この例のようにA W B では写真全体が茶色っぽく再現され色が濁ってしまっています。expodisc2.0では光を拡散して捉えるため、このように被写体の中に白が含まれていない場合でも光源に合わせたホワイトバランスを設定し、自然な色合いに再現することができます。

expodisc2.0 使いこなし

使いどころを見極めることが肝心

A W B ( オートホワイトバランス)

expodisc2.0 ( マニュアルホワイトバランス)

expodisc2.0を使うと光源の色にホワイトバランスを合わせることができ、結果的に「色かぶり」の少ない写真になります。しかし、このお店( バー) のように、電球をお店の演出照明として使用しお店の雰囲気を作り出している場合に、ホワイトバランスを光源に合わせてしまうと電球の色味は消え雰囲気もなくなってしまいます。


写真の雰囲気を考え使用するかしないかを判断するのがポイントです。


横山 崇 Takashi Yokoyama
( カメラマン・デザイナー)

SILKYPIX テクニカルアドバイザー
EIZO ColorEdge Ambassador
フォトマスター検定委員/ EX


1975 年千葉県千葉市まれ。
・大日本印刷( 株) のデザイン部門を経て( 株) 市川ソフトラボラトリーに入社。RAW 現像ソフトSILKYPIX シリーズのプロモーションや製品企画に携わる。
・2016 年よりフリーランスとして広告/肖像写真撮影を中心に活動中です。メーカー勤務の実績を活かして写真愛好家向けのワークショップやイベントなども企画しています。
初心者の方にもわかりやすく、楽しい解説ができるように心がけています。現在FUJIFILM AcademyX でも講座を行っています。

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